【覚醒】ヒッピー村で知った「飲む神薬」カカオセレモニーの衝撃

メキシコ最南端のパレンケで、ワイルドな幻覚キノコと共にマヤの神々とディープな交信を終えた僕。メキシコ旅の余韻に浸る間もなく、次なる目的地、お隣の国グアテマラへと向かうことにした。

ゲリラが潜んでいる密林地帯で、ボロボロのミニバンに詰め込まれ、未舗装のガタガタ道を突き進むという、絵に描いたような密林の陸路国境越えだ。

泥と汗にまみれてグアテマラに入国し、僕が真っ先に向かったのは、火山に囲まれた美しきアティトラン湖のほとりにある「サン・マルコス・ラ・ラグーナ(San Marcos de La Laguna)」という小さな村。

実はここ、世界中からガチのヒッピーやスピリチュアル系の変人(褒め言葉)が集まる、中南米屈指の「聖地」なのだ。そこで待っていたのは、僕の「チョコレートの概念」を根底から覆す、あまりにもディープなカカオの世界だった。

アティトラン湖のほとりに佇むサン・マルコス村

村全体がスピリチュアル。「何もしない」ヒッピーたちの楽園
村に一歩足を踏み入れた瞬間、空気の密度が変わったのが分かった。
道を行き交う人々は、みんなカラフルな民族衣装や、謎の服をまとっている。

サンマルコス村

靴を履いていない打楽器持ちの男、道端で謎のポーズで瞑想している美女、おでこにサードアイ(第三の目)のタトゥーが入ったお兄さん、道端でたこ焼きを売っている謎の日本人男性……。

道端でたこ焼きを路上販売している30代後半の旅人。

彼は約2年ほど世界を旅していて、お金がなくなったので、グアテマラのヒッピー村の路上でたこ焼きを販売している。お金が溜まったら、次の目的地であるペルーへ旅立つそうだ。お金が無くなったら、海外でブームを起こしている日本食のたこ焼きを路上販売して、旅の資金を貯めて、また旅をするという無限ループでずっと旅をしたいと言っていた。

たこ焼きの価格は4個で約400円、8個で約700円、12個で約1000円。現地の生活費は日本の半分ぐらいで生活できて安いので、お金は溜まりやすい。

珍しいのか、たくさんの人が彼のたこ焼きを買って喜んで食べていた。タコも安く買えるので、原材料は安く仕入れるので、良い商売だ。

可愛い村の雰囲気

カカオとの出会い


宿にチェックインし、テラスでぼーっと湖を眺めていると、ドレッドヘアをなびかせた謎のベテラン旅人・ハビエルが話しかけてきた。

「ヘイ、アミーゴ。いいエネルギーだね。この村に来たなら、もう『聖なる植物』は試したかい?」

出た。また何か怪しい草かキノコの話か? と身構える僕に、ハビエルはニヤリと笑ってこう言った。

「カカオだよ。本物の、魔法のカカオさ」

「え? カカオって……あのチロルチョコとかの、カカオ?」

僕の脳内はハテナマークでいっぱいになった。

「おいおい、カカオをただの甘いお菓子だと思ったら大間違いだぜ」 ハビエルは呆れたように笑いながら、熱く語り始めた。

彼が言うには、僕らが普段食べているチョコレートは、砂糖やミルクが大量に入った「工業製品」。

しかし、マヤの時代からこの地に伝わるカカオは、神聖な儀式で使われる「神の食べ物(テオブロマ)」であり、心臓のチャクラを開く聖なる植物なのだという。

「本物のカカオは、脳内の幸福物質をドバドバ出すんだ。トリップするわけじゃない。ただ、胸の奥が温かくなって、愛と感謝で満たされる。嘘だと思うなら、明日の朝の『カカオセレモニー』に行ってみなよ」

チョコレートで心臓のチャクラが開く? 砂糖なしのカカオが神のクスリ?

パレンケでマヤの神秘に触れたばかりの僕は、妙にその言葉に惹かれてしまった。「よし、そのチョコレートの真の姿、見せてもらおうじゃないか」と、翌朝のセレモニーへの参加を決めたのだった。

怪しげなシャーマンと、五感を揺さぶる「カカオセレモニー」

翌朝、村の外れにあり、湖の横にある会場へ向かった。 中央には、色鮮やかな花やキャンドル、そして怪しげなスパイスが綺麗に並べられた祭壇がある。参加者は世界各国から集まった20人ほどのヒッピーたち。

会場内写真はNGだったのでイメージ写真

全員が静かに円になって座ると、チリチリの髪をなびかせた、いかにも「宇宙と繋がってます」という風貌のシャーマン(儀式の進行役)が登場した。

大きな土鍋から、ドロドロとした焦げ茶色の液体を木製のカップに注ぎ、一人一人に手渡していく。

これが、原種の最高級カカオを100%使い、チリ(唐辛子)やシナモンなどのスパイスを混ぜて煮留めた、本物の「聖なるカカオ」だ。

「さあ、まずはカップを胸に当てて、カカオのスピリット(精霊)に挨拶をしましょう。そして、今日のあなたの意図(インテンション)を心の中で唱えてください」

100%原種のカカオセレモニーで使われるカカオドリンクのイメージ

シャーマンの怪しげな(しかし最高に心地よい)声に導かれ、目を閉じる。そして、意を決してカカオを口に含んだ。

「……にがっ!!!」

甘さは微塵もない。超濃厚でビターなカカオの苦味の後に、チリのピリッとした刺激が伝わる。しかし、不思議と嫌な感じはしない。むしろ、大地のエネルギーがそのまま喉から胃へと流れ込んでいくような、強烈な生命力を感じた。

胸の奥から湧き上がる、圧倒的な「愛と多幸感」

全員がカカオを飲み干すと、シャーマンが太鼓を叩き、不思議なマントラ(歌)を歌い始めた。それに合わせて、みんなで体を揺らし、ハミングをする。

飲み終えて20分ほど経った頃だろうか。体に異変が起き始めた。 パレンケのキノコのように、世界がウネウネ動くような幻覚はない。意識はいたってクリア。なのに、心臓の鼓動がドクドクと大きく、熱くなっていくのが分かる。カカオに含まれる成分(テオブロミン)の効果で、全身の血流が一気に良くなっているのだ。

すると、信じられないほどの多幸感が胸の奥から溢れ出してきた。

「あ、なんか……生きてるだけで最高かもしれない」

過去の失敗への後悔や、未来への不安が、サーッと消えていく。

目の前で一緒に踊っている見ず知らずのヒッピーたちが、まるで昔からの親友、いや、家族のように愛おしく思えてくる。

最後は全員で立ち上がり、太鼓のリズムに合わせて狂ったように踊った。汗だくになりながら、ただただ「今、ここに存在している喜び」を爆発させる。 それは、脳をコントロールされるトリップ体験ではなく、カカオという植物の力で、自分の中に眠っていた「純粋な愛」を目覚めさせてくれるような、温かくてパワフルな解放的な体験だった。

サン・マルコスの「カカオセレモニー」を100%楽しむためのアドバイス

もしあなたがグアテマラのヒッピー村でカカオの洗礼を受けるなら、以下のことを覚えておいてほしい。

①前日の夜から胃を軽くしておくこと 。カカオはかなり濃厚で、胃にズシリとくる。空腹に近い状態で 参加した方が、カカオの成分がダイレクトに体に染み渡り、効果を感じやすい。

②「甘いチョコ」を期待していかないこと 味はほぼ100%良質の苦味とスパイス。お菓子ではなく「漢方薬」や「神聖なスープ」を飲む感覚で挑むべし。

③オープンマインドで恥を捨てること。 セレモニーでは、歌ったり、叫んだり、激しく踊ったり、時には感情が極まって泣き出す人もいる。周囲の目を気にせず、自分の感情を100%解放するのがカカオと繋がるコツ。

最後に

カカオセレモニーが終わり、優しく穏やかな気持ちでアティトラン湖の夕日を見た。夕日に照らされる湖面は、まるでクリスタルのように輝いていた。

ただのお菓子だと思っていたカカオ。しかしマヤの地で体験したのは、人と人、そして自分自身を深く繋ぐための、壮大な「心の特効薬」だった。

メキシコのキノコで宇宙と繋がり、グアテマラのカカオで愛に目覚めた僕の旅。スピリチュアルの波に揉まれまくった中南米バックパッカー旅、次は一体どんな深淵が待っているのだろうか?

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