
10周年という節目のイベントですが、いわゆる「お祝いムード一色」というより、熊本シークレットらしい、大人の雰囲気のある落ち着いた始まりでした。
白い衣装に身を包んだスタッフ、静かに集まってくるお客さんたち。
派手な演出がなくても、「今日は特別な日だ」ということが、自然と伝わってきます。
フェティッシュ、SM、バーレスク、緊縛。
それぞれのジャンルで長く活動してきた演者が、この日のために熊本に集まっていました。
なぜ、ここまでのメンバーが集まったのか。
それを説明する言葉はたくさんありますが、実際にその場に立ってみると、理由はとてもシンプルに感じられます。
熊本シークレットは、10年も続いてきた場所であり、また集まりたくなる場所だった、ということ。
そんなことを考えながら、10周年イベントは静かに幕を開けました。
10年分の時間が動き出す

熊本シークレット10周年パーティは、松本格子戸さんのオープニングトークから始まりました。
会場に足を踏み入れて、まず目に入るのは「白」。
シークレットのスタッフは全員白い衣装、男性スタッフは白いタキシード。
新しくママに就任されたLucA さんは白いお着物姿で、その場に立っているだけで、自然と視線を集めていました。
10周年。
数字だけ見れば区切りの良い記念日ですが、ここに立ってみると、それ以上に「積み重ねてきた時間」が感じられます。
お客さん同士が自然と会釈を交わし、「久しぶり」「今日は楽しみだね」と声を掛け合う。
初めて来た人も、常連も、どこか同じ輪の中にいるような距離感です。
MC:松本格子戸さん
ストリップ劇場の楽屋で生まれ、ストリップ劇場の楽屋で育ち、現在もストリップ劇場の舞台に立つ、【ストリップの申し子】
赤に染まるステージ。RITA GOLDIE(リタゴールディー)

最初のステージに登場したのは、リタゴールディーさん。
新宿歌舞伎町から来たバーレスクダンサーです。
「夜桜お七」の曲とともに艶やかに登場。
赤いお着物に花魁風の装い、赤い扇子、赤いネイル。
ステージに立った瞬間、会場の視線が一斉に集まります。
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▲花魁風の衣装が艶やか。
薄手の襦袢を一枚ずつ脱いでいく所作はとても丁寧で、動きは決して派手ではないのに、目が離せません。
お客さんに帯を持ってもらっての「あーれー」。
(あーれー以外に言葉が見つからなかったのですが、時代劇で悪代官様に女性が帯を引っ張られるあれです)
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▲こういう演出もくすっと笑えて素敵でした。
笑いが起きつつも、きちんと色気が残る。
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▲視線の作り方に魅了される。
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▲BGMの演歌の世界に迷い込んだような世界感でした。
ブラックライトで光る扇子を使い、ステージいっぱいを使ってくるくると回る身体。
ご自身の魅力への視線の集め方を、よく分かっていらっしゃる。
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▲スタイルが美しすぎる。
赤いふんどし、赤いブラジャー姿に。
ブラジャーに仕込まれた布を外し、舞わせ、最後に現れた縄のブラジャー。
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▲ブラジャーが縄ブラジャーへ変身したとき観客からわあ♡と思わず息が漏れる。
傘をくるくると回しながらのフィニッシュ。
表情がとにかくいい。
ステージの途中で、私の頬にそっと触れていただき、その指先の距離感まで妖艶。
ひとつの完成されたショーでした。
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▲あっという間に感じるショータイムでした。
ショーが終わると、MCの声掛けでチップタイム。
自然と列ができ、誰も急かさず、誰も遠慮しすぎない。
「熊本シークレット10周年、おめでとうございます」
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▲チップタイムも大盛り上がり。
リタゴールディーさん自身の言葉で祝福が添えられ、さらに「後ほど、もう一つステージがあります」とのアナウンス。
次は洋装予定とのこと。
すでに一度しっかり満たされているはずなのに、「もう一度観られる」という事実だけで、このあとのショーが待ち遠しくなるのを感じました。
RITA GOLDIE
BEST OF BURLESQUE 2021優勝。歌舞伎町FANTASTIC LOUNGE・Bar TIPPLEオーナー。
鬼と狐、痛みの中にある信頼。SIVA✕餅和

続いて登場したのは、SIVAさんと餅和さん。
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▲SIVAさんらしい、ストーリーがあり、ワクワク。
童謡「とおりゃんせ」から始まる不穏な演出。
狐のお面をつけた餅和さんが和装で現れ、少し怖さのある童謡メドレーが流れます。
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▲狐のお面、鬼のお面、そして鬼の角をつけた寅さん。
寅さんは鬼のツノ、SIVAさんは鬼の面。
お面を外した瞬間のSIVAさんの表情が、場を一気に引き締めます。
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▲絵本の世界に引き込まれてしまいそう。
腕に蝋燭を挟み、竹鞭で叩く。
溶けた蝋が腕を伝い落ちる。
青い縄で緊縛が始まります。
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▲丁寧で優しさのある縄。
上半身を半分脱がせ、上から縛っていく。
ステージの隅には和蝋燭が置かれ、視線が自然と集まります。
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▲細部へのこだわりも見えます。
両足を開いて吊り上げ。
蝋燭を口に咥え、足にも挟む。
蝋燭でできた赤い跡が、少しずつ身体に増えていきます。
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▲白と赤と黒のコントラストが美しい。
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▲SIVAさんの不敵な笑顔と、餅和さんの絶叫がアンバランスで魅力的。
足の裏をケインで叩くと、餅和さんの絶叫が会場に響きます。
床に足がついた瞬間、太い木の棒。
それでも二人は、しっかりとアイコンタクトを交わしている。
お面が外れた餅和さんの表情が、とても良い。
苦しさの中に、安心がある顔です。
床に座り、見つめ合い、手を取り合う時間。
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▲2人にしか出せない世界が広がります。
線香を餅和さんが左手に持ちます。
SIVAさんの手によって、線香が右腕へと押し当てられていきます。
苦悶の表情、嗚咽にも近い悲鳴が会場の空気を張り詰めたものに変えます。
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▲狐のお面から、鬼のお面へと変わって行く姿に色々経験して、強い生き物へと変わって行くストーリーを感じました。
最後は、後ろから優しく寄り添い、鬼のお面を被せて一本鞭。
SIVAさんが傘を持つと、桜が舞い散ります。
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▲ひらひら舞い落ちる桜の花びらが華やか。
寅さんが着物を脱ぐと「祝10周年」のふんどし。
この瞬間の盛り上がりは、ここまで一緒に見てきた時間があってこそ、という感じがしました。
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▲張り詰めた空気を一気にお祝いムードの笑顔へと。
SIVA
club secret,KINKY BOX ゲスト在籍。
心繋縄会主宰。
NUKITIMESにてもインタビューに応じてくださっています。
⇒ SIVA女王様インタビュー|「心繋縄会」と育む、安全に楽しむ緊縛
公式Instagram:https://www.instagram.com/sivasion214/
テルテル坊主から始まる、飛室イヴの世界

MCの言葉で紹介されたのは、飛室イヴさん。
モデルは熊本シークレットにてスタッフをされているエマさん。
東日本SM界の重鎮であり、名前は知られていても、西日本では実際にステージを見る機会は決して多くない存在です。
それでも、この熊本シークレット10周年という場に、自然とその名前が並んでいること自体に、ひとつの意味を感じました。
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▲会場内を目の見えない状態で一周します。
首を縛られたテルテル坊主の姿で現れ、視界を奪われたまま会場内を連れ回されるエマさん。
ステージに上がる前から、すでにショーは始まっています。
後ほどお伺いしたのですが、テルテル坊主に見えた姿は、実は頭巾を被せているわけではなく、着物を頭から被せて顔を隠して首縄で引き回していたとのこと。
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▲イブさんの声がハンサムで引き込まれます。
頭部の着物が外され、首に縄がかかる。
紫の着物をまとう飛室イヴさんと、赤い着物のエマさん。
その色の対比だけで、空気がすっと引き締まりました。
「まだ何もしていないのになあ。」
軽く投げられる言葉とは裏腹に、
主導権は完全に飛室イヴさんの手の内にあります。
首の縄を外し、今度は手首をぎゅっと縛る。
「逃げたかったら逃げてもいい。」
「なんにもしてないのになあ。」
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▲じっとりと熱を帯びた緊縛。
言葉で縛り、感情を揺らし、羞恥心をゆっくり引き出していく。
会場の人に縄を持たせ、股間の縄を引かせる場面では、「見ている側」だったはずの客席も、いつの間にかこの時間の一部になっていました。
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▲されるがままのエマさんにも覚悟を感じます。
舌を手製の口枷で挟み、縄で固定。
よだれを垂らしながら回される姿は、苦しさと妖艶さが同時に立ち上がる、不思議な光景です。
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▲ショー中には、イヴさんの言葉攻め。見ているこちらもドキドキする。
逆さ吊りにされ、足を固定され、くるくると回される。
そこに重ねられる大量の蝋燭。
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▲立ち上る蝋燭の火。
「今日は何の日か?」
問いかけに答えられないモデルさんに、濡れ手拭いで打ちます。
「10周年のお祝いだから特別サービス」と、さらに打たれていきます。
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▲鞭よりも痛いことがあるそうです。
何度も繰り返される問い。
小さな声から、少しずつ大きくなっていく声で、
「シークレットの10周年パーティです」
会場全体に聞こえるその言葉が出た瞬間、会場から自然と拍手が起こりました。
手拭いで叩く回数を、会場全体で数えます。10周年にちなんで10回のはずが、手拭いを水で濡らすために数え直し。
終わらない時間。
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▲LucA さんの手拭いさばきも堂々たる物。
イブさんからの提案で、熊本シークレットの10周年を祝うためLucA ママが最後に登場し「5発」。
LucAさんが無事に、エマさんへ手拭いを打って妖艶なステージは幕を閉じました。
ステージ終了後にイヴさんが、貴重なお話をしてくださいました。
雪村の縄。
布団一枚の上でできる、愛撫の縄。
継がせてもらって10年。
それを継いでいる日本人は、3人だけ。
普段は、優しい愛撫の縄をやっている。
そして驚くべきは、モデルのエマさんとはショーの1日前に初めて出会ったとのこと。
こんな素敵なショーができるなんて、2人の技術力の高さが伺えます。
飛室イヴ
縛師(雪村流)京都バルバラ姉妹店 赤坂8 1/2 Madame。
女王・パフォーマー(飛室流)
身体そのものが語る説得力。若林美保

飛室イヴさんのステージが残した余韻を、やわらかく、しかし確実に受け取ったのが、若林美保さんです。
MCの松本格子戸さんが、客席を見渡しながら声をかけます。
「今日は女性のお客さんが多いですね」
「一番前のかぶりつきが女子ばっかりって、なかなか珍しいですよ」
「美保ちゃんって呼んでるんですけどね」
「これで食べていける人って、本当に一握りなんですよ」
「ぜひ、今日の姿は待ち受けにしてください」
軽やかな言葉で場をほどいたあと、
若林美保さんはステージへ。
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▲ステージにあがるだけで、ぱっと華やかに。
イエローのお着物。
ステージにはエアリアルの布。
紫の帯を外す、その一連の所作だけで、空気が切り替わるのがわかります。
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▲着物を脱ぐとレオタード&ヒョウ柄のタイツ。
布に片足を入れて、くるくると回る。
美保さんが、くるくると可憐に回るたびに観客から拍手が巻き起こる。
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▲ただの踊り子ではありません。
床に降り、白いレオタードを脱ぐと、豹柄のタイツだけに。
足先、指先、視線。
細部まで神経が通った動き。
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▲エアリアルヨガの講師もされている美保さん。
布が生きているように見えるのは、身体の芯が、ぶれていないから。
立ったままのブリッジ、両足開脚。
華やかさが溢れ、技術力、説得力が残るステージでした。
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▲本物の女豹のよう。
若林美保
浅草ロック座所属ストリッパー。
縄や布、リングを使ったエアリアルパフォーマンスを展開。どのジャンルにも属さない、唯一無二のパーフォーマー。
ショーの余韻の中で、手に取れるフェティッシュ
若林美保さんのステージが終わると、会場には少しだけ、休憩タイム。
自由に動ける時間が生まれます。
ショーとショーの合間に、お話をしたり、ドリンクを楽しんだり。
物販コーナーの紹介が始まります。
Re:Vida Loca|オーダーメイドの「人用首輪」

Re:Vida Locaは、オーダーメイドの人用首輪を中心に、ファッションチョーカー、プレイ用の首輪、革製品や革小物を製作しています。
首輪というアイテムが持つ、象徴性と実用性。
日常に馴染むものもあれば、関係性を明確に示すものもある。
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▲店舗の方もすごく話しやすい方でした。
サイズや用途を相談しながら選べるので、あなた好みの1本を手にしてみてはいかがでしょうか。
公式X:https://x.com/re_vida_l0ca
zerone|ヴァンパイアを纏う

もう一つ並んでいたのが、zerone。
ヴァンパイアをイメージした、本革と金属を組み合わせたアイテム。
革製のアーマーリングは、指にはめた瞬間に、役割やキャラクターを立ち上げてくれる存在感がありました。
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▲上質な革を使用し、使えば使うほど馴染むそうです。/span>
衣装の一部としても、普段の装いに一点足すアイテムとしても、しっかりと“使える”デザインです。
公式X:https://x.com/zerone_wakana
観る、感じる、選ぶ。
熊本シークレットの10周年は、
最初から最後まで、受け身でいることを許さない構成でした。
けれど、この時点では、まだイベントは折り返し。
「10周年イベント」という言葉が、単なる記念ではなく、積み重ねの結果なのだと、静かに腑に落ちます。
熊本シークレットが、なぜここまで続いてきたのか。
そして、なぜこれほどの演者たちが集まったのか。
その答えの輪郭が、この時点ですでに、はっきりと見えていました。
(後編へ続く)
▷熊本シークレット10周年|SMとフェチが重なった、愛されてきた10年(後編)
熊本シークレット
今回のイベントは熊本のシークレットの10周年を祝うスペシャルイベント。
公式Instagram:https://www.instagram.com/fetishlab_secret/
以前取材させていただきました。
⇒ 熊本の夜遊び新定番?フェティッシュバー「シークレット」に行ってきた


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